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学生時代から

「女性が自由に豊かに生きていける社会へ」と思い続け、

3月にリクルートを退職され、

現在OMOYA Inc.の取締役社長をされている真理子さん。

 また、伝統文化を伝えていく活動もされています。

起業に至った経緯、そして働き方について考える上で欠かせない、自分への考え方などについてお聞きしました!

「自分の働き方」や、「やりたいこと」について

悩んでいる方、必見です!

  No.42 

〜意志あるところに

  道はひらける〜

 
 

[[猪熊 真理子さん]]

 
OMOYA Inc.代表取締役社長

[[猪熊 真理子さん]]

Q.現在、伝統文化に関わる活動をされている真理子さん。

いつから日本の文化に興味を持つようになったのですか?

A祖母との思い出が伝統文化を残したい気持ちに繋がった。

着物が好きで茶道も習っていたけど、

伝統文化が好きと意識したことはもともとなかったんです。

 

去年の春に祖母が倒れたときに、今は全然元気なんですけどね、

私の中で「おばあちゃんは文化だ」とふと気づいたことがあって。

 

例えば、おせちの作り方を教えてくれたり、お雛様をかざったり、

ひとつひとつの意味を祖母から教わっていて。

祖母が倒れて、もしいなくなっちゃったらどうしようと思った時に、

おばあちゃんが教えてくれた文化の豊かさと、

文化は失われたら、人が二度と生き返れないのと一緒で、取り戻せない、

という危機感を感じるようになったんです。

 

伝統文化の想いの一つは家族を思う気持ちで、

例えば、子供に健やかに育ってほしいとか、幸せに育ってほしいという、

親が子供を思う気持ちや目に見えない無償の愛を、

目に見える形に表現したもの、だと思います。

 

伝統文化が日々の中に存在することで、

子供たちにとっては、「愛された記憶を残すこと」につながるなと思って。

次の世代の子供たちにも、愛された記憶を残してあげたいという思いで

伝統文化を次世代に繋ぐ活動をしています。

 

Q.伝統文化を通して、できることはなんでしょうか?

A.人が人を思う心を、文化という存在を通して育てることができる。

職人さんが何か一つのものを作る時、

その技術を会得することも考えると、本当に長い時間がかかります。

時間をかけてそんな大変なことをなんでやるかというと、

そこに思いがあるからだと思うんです。

強い思いがないと絶対できない、途中でくじけてしまう。

 

人が思いを持って作ったものの価値が分かる心。

価値というものが単なる値段じゃなく、

人が思いを込めて作っているものに対して、その思いを感じ取れること。

自分には絶対できないようなことをしてくれている方に対する尊敬の心。

 

そういう心を育てていかないと、

伝統文化業界っていうのは衰退していくし、需要がなくなっていく。

そういう、人が人を思う心というのを、

文化という存在を通して、育てることができるんじゃないかな、と。

 

「思い」とか「心」というのは目に見えなくて、

そういう目に見えないものを信じるっていうのはすごく大変ですよね。

でも、その思いという目に見えないものが、幸せの核になる、中心になるものだから、

そういうものを感じ取れるようになることで、

その人の人生もすごく豊かになると思うんです。

 

だから、人の思いを感じ取れる心、誰かを尊敬できる心を育むことが、

一人でも多くの人の心を豊かにすることに繋がると信じているんです。

Q.やりたいことが見つからない人はどうすればよいと思いますか?

A.小さな経験の積み重ねからやりたいことに気づいていくのだと思います。

「心から、これがしたいんです…!!」

ということをいきなり見つけようとするとものすごく難しいかもしれません。

 

やりたいことがいきなり、明確に見つかるものではなくて、

小さいもの、これ好きだなとか、これしたいなとか、

これちょっとがんばってみたいなっていうものを、

積み重ねていった先に見つかっていったり、自覚していくんだと思います。

 

私も、学生時代からずっと「女性が自由に豊かに生きていける社会へ」と思い続けてきたけれど、突然お告げがあって、私これしたい!!と思うようになったわけでは全くなくて(笑)

自分の周りの友達の話を聞いていたら、

すごく自信が無い子が多いな、なんでみんな自信が無いのかな…と思っていて。

そういうところから、友達のために何か役に立てないかなという思いがどんどん広がっていって

今の思いがあるんです。

 

主体的に自分の人生を生きているという感覚になるためには、

そういう小さな経験の中から自分の思いに気づいていくプロセスが必要なのだと思います。

 

日々の生活の中に小さな経験のタネがいっぱいあって、その上で、

「なんか私、ずっとこの辺りに興味があるな」って思ったことがヒントかもしれない。

私の場合は、自分も自信が無かったし、でも、昔の自分と比べたら、

今日が一番楽しいなって思えたり、自分を以前よりも許せている自分がいたり、

自分に自信を持つことが少しずつでもできているという実感や成長は、

一人の人間の感覚値としてあって。

 

じゃあ、女性が自信を形成していくために必要なものはなにか、

人のために役に立てないか、人生を自由に豊かに生きていくために、

どういうサポートがあったらいいか、女性たちは何を望んでいるのか、

ということにとても興味がありました。

 

やりたいことに気づくために、もう一つ大事なことは、

言葉に落としてみたり、人に話してみたりしながら、

自分が本当に納得できるか確認してみること。

 

そうやってアウトプットをすることで、どんどん確信に変わっていくこともあると思います。

それから、やりたいことって、変わっても良いんですよ。

変わっちゃいけないと思うと、本当にそうなのかな?と迷うことがあります。

確かなのは、「今、自分はそう思っているのだ」ということで、

たとえそれが変わっていっても、その時そう思ったということは真実ですから。

 

Q.自分について考えるとき、どのようにされていますか?

A.色んな人と話したり、色んな人を知ることで気づいていく。

私は自分自身で一生懸命考えて、明確な答えが出なくても、

自分では考え抜いたという状態まできたら人に聞いてみます。

 

答えとしての到達地点が100%だとしたら、

最初に自分で出せるものって2〜3割程度の完成度かもしれない。

そこから色んな人に相談したり、お話を聞いたりして、

また自分で考えたり、話している中で気づくことがあったりして、

答えが出ていくという感じかな。

 

「自分は今こういうことに悩んでいて、こういうことが課題だと思っているのだけど、

どう思う?」って、自分のことをよく理解してくれている複数の人に聞いたりします。

友達とか、親とか、恋人とか。

 

日本って特に、「人様にお見せできるものじゃない」という文化があるからか、

完全な答えが出ていない中途半端な時に

人に話すのが苦手だという人が多いように思います。

 

パーフェクトじゃないと他人に見せちゃいけないって思われているかもしれないけれど、

自分一人でできることなんていうのは、圧倒的に限られていて。

世界はもっと広いし、もっと複雑だから、

自分自身ですべて分かりきることなんてないと思うんです。

自分自身のことだって、自分一人で分かりきることはないし。

 

だから、いろんな人のお話を聞いて、いろんなところから光を当ててもらって、

自分というものがどういう物体なのか確かめたい、というか。

 

例えばお月さまって丸いじゃないですか。

ある一つの方向からだけ見たらお盆みたいに見えるかもしれないけれど、

いろんなところから光を当てて見るから、

あ、お盆じゃないんだ!球体なんだ!とか、裏にクレーターあるんだ!とか、

分かるでしょう笑。

1人では絶対に分かり得ない。

それは自分のことも、人生のことも、社会のこともそうだと思います。

 

Q.真理子さんは、ロールモデルや目標等はお持ちですか?

A.ロールモデルというよりも、
  誰かの素敵なところを自分自身に取り入れていく。

自分とまったく同じな誰かはいないし、他の誰かにはなれないので、

「この人になりたい!」という完璧なロールモデルを見つけることはできないと思います。

 

ただ、素敵だなと思う人に会ったとき、その人の良いところを見つけて、

自分自身に取り入れられるところは、取り入れるようにしています。

目標を明確に設定して、それに向かって頑張るというよりは、偶然の出会いや思いもよらなかったご縁や、そういうものを大切にしています

Q.今までインタビューさせていただいた方も、

流れとともに生きることや、ご縁を大切にするということを

おっしゃっている方が多かったです。

 

A.女性は不確定要素が多いからこそ、譲れないものを軸として持てば
  他は手放してもいいと思う。

女性は人生における不確定要素が多いですよね。

誰といつ結婚して、いつ子どもを産むか、その時に自分はどんな仕事をしているか。

分からないことが多い。

 

結婚したら仕事はどうなるのか?子どもを産んだら?

そういうことを、女性は人生で実際にそういう出来事が起こるずっと以前から

配慮しているところがあるんじゃないかな?と思うんです。

 

そうすると、男性に比べて、

自分ではコントロールできないものに出会うことが多く、

それが人生に深く、影響を及ぼす可能性が高いのかもしれない。

 

だから明確に目標を決めてしまうと、辛くなったり、

何かを手放すことへの葛藤とか苦悩を感じるかもしれませんよね。

 

だからこそ、明確に目標を決めることが重要というよりは、

自分が人生において譲れないもの、本当に大切なものは軸として持っておいて、

それ以外のものに対してはご縁やタイミングや運に任せるような生き方でも良いのかなと思います。

 

ざっくり、結婚はしたいなとか、仕事はがんばりたいな、子供は欲しいな、

でもいつになるか分からないな、もうそれはご縁にお任せ みたいな余白を持っておくことも大事だと思いますよ。

 

Q.学生時代、「やりたいことは全部やる!」がモットーだった真理子さん。

やりたいことだと思って実際にやってみて、

なんか違うな…と思ったらどうされていますか?

A.やってみたことで「何を学んだか」を明確にして、次のステップを決める。

「やりたい」と思ったことが、誰かと約束しているわけではなくて、

自分自身だけで決められることの場合は、

「何を学んだか」ということだけ明確になれば、続けないで方向転換することもあります。

でも、誰かと約束しているものだったら、責任は果たさないといけない。

 

やってみて、何がわかったか、想定とどう違ったかが分かれば、

例え途中でやめてしまったとしても意味があるんです。

 

あと、私は直感も大事にしています。

自分の気持ちに嘘をついて、本当にやりたいことが分からなくならないように、

できるだけ直感に従いたいとも思っています。

それにプラスして、他の人の意見をよく聞いて、迷いは無いか、後悔しないかを考えて、

そのまま続けるのか、方向転換をするのかを決めてきましたね。

 

Q.OMOYAの設立はいつから考えられていたのですか?

A.自分にできること、自分がやりたいことをずっと考えていた。

 

会社を退職して独立するということは、

自分が社会とどう関わっていくかが問われると思うんです。

自分は何者で、社会の中で自分はどう役に立てるんだろうということを考えていて。

そういうことは、会社員である時も考えてきたのですが、独立を考え始めた1年くらい前からより強く思いを巡らせるようになりました。

 

学生時代から思っていた、

「女性が自由に豊かに生きていける社会へ」という思いはずっとあるけれど、

具体的にはどういう思いなのか。

 

今まで出会ってきた沢山の人、そして経験させて頂いたことを通して、

皆がそれぞれにいろんな思いを、目に見えない思いを、

大小あるけど抱えているんだなと思って。

 

その中で、可能性があるもの、共感できる思いや、

同じ志を持っているような人の思いは、叶えてあげたい。

 

一緒に叶えたい、応援したいと思ったり、

その思いを特にビジネスにおいて現実化していくためには、

事業戦略であるとか、営業戦略とか、組織戦略とか、戦略性が必要だな、と。

その戦略性の部分のお手伝いを、今まで経験させていただいたもので

応用できるのではないかな?と思うようになっていました。

 

Q.なぜ、会社を辞められたのですか?

A.自分が実現したいことと、そのために心を尽くせるスピードを考えると独立する必要があった。

自分がこれから心を尽くしていきたいと思っていることが2つあって、

1つは日本伝統文化後継者育成支援という観点から、

日本国内に対する文化教育や文化価値の見直し、世界に対する発信、

そして本物を次世代に絶やすことなく受け継いで行くということを考えています。

2020年にオリンピックがありますが、

それ以降に向けてもこの動きはきっと加速していくと思います。

 

もう1つは、私がずっと思い続けている、

女性の可能性を最大化できる社会にしていくということ。

2020年に向けて政府が女性活躍の目標を掲げられているので、

そこに向けての動きもすでに加速していますが、

女性の活躍という定義がとても大事で、私は働くことだけではなく、

家庭の中でも周囲の中でも社会の中でも女性はその人らしい可能性を発揮できると考えています。そういう仕組みを事業として作っていくこと。

社会が大きく動く中で、もっと速いスピードで動かないと間に合わないな、ということは今でもよく考えていますよ。

 

社会の大きな流れを読み取りながら、その中に自分の思いをどう乗せていくか、と考えた時に今のスピードでは間に合わないな、と思ったことが独立する一つのきっかけにはなりました。

 

社会がどこかに1つの方向に向かっているっていうのは

やはり大きな意味があることなので、社会の流れを感じ取って、

そこにどういうふうに自分の思いを乗せていくか、

そのためにはどんなやり方があるかと考えていくことによって

自分の人生が変わっていくこともあると思います。

 

・読者にメッセージをお願いします

「意志あるところに道は開ける」

【関連URL】

 

猪熊真理子さん

 ブログ:http://ameblo.jp/kobe-mariko/

     http://blogs.25ans.jp/elegant_marikoinokuma/

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 Twitter:@Mariko_1218

 

OMOYA Inc.

 HP:http://www.omoya-inc.com/

 Facebook:https://www.facebook.com/omoyainc

 

 

【編集後記】

 

将来の働き方について考えるとき、おそらく必ず直面する

「やりたいことはなにか」「自分はどういうひとなのか」という問い。

 

「やりたいこと」は、日々の小さな自分の選択の積み重ねで見えてくる ということや

「自分について」自分が1番よく知っているなんてことはないから、

もっと周りのひとに聞いてみた方が良い ということなど、

気づかなかったことをたくさんお聞きできました。

焦らなくて、そして自分1人で抱え込まなくていいんだなと思いました。

 

そしてもうひとつ、とても素敵だなと思ったのが、

女性は不確定要素が多いから、

自分が人生において譲れないもの、本当に大切なものは軸として持っておいて、

それ以外のものに対してはご縁やタイミングや運に任せるような生き方、

余白を残しておくことも大事。という言葉でした。

 

 

インタビュー中、自由で、そして大らかだった真理子さん。

自分も他人も受け入れられている という雰囲気を感じ、とても素敵でした。

 

真理子さん、お忙しい中、ありがとうございました!!

 

インタビュアー:金子郁美

 

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