

企業とNPOの協働を企画してPRする事業を展開する
株式会社レッドスパイダー。
そんな会社を運営するのは、一児の母、杉山香林さん。
笑い上戸で笑顔が素敵な杉山さん。
いつも楽しそうで明るい杉山さん。
気さくで優しい杉山さん。
こんな杉山さんしか見ていなかった私は、
今回のインタビューで杉山さんの深い深いところまで
知ることができました。
キーワードは、子育て、心のゆとり、起業。
笑顔の奥に潜む杉山さんのパワーを今ここに記します!!
No.4
日本一笑顔の素敵な女性社長
[[杉山香林さん]]





株式会社レッドスパイダー代表取締役
[[杉山 香林さん]]
Q.どんな学生時代でしたか?
A.健康的なダンスサークルに所属! 英語科なのに英語ができない学生でした。
Q.内定もらった会社で働いたんですか?
A.実は違います。英語の勉強がしたくて、派遣の営業をしていました。
一応内定はもらうことができました。
でも、まだ当時は働く目標や、1つの会社で長く働き続ける意義が見えず、
むしろ大学でやり残した英語のスキルアップの方が大きな課題でした。
なので、内定を頂いた会社は辞退させて頂いて、
比較的自由な時間が得られる営業の派遣の仕事をしていました。
結構自由で、時間管理は本人任せなんですよ。
時給も良くて、30万円近く当時は稼いでいました。
ところが、会議の日だけは帰りが夜中になったりしたので、親の反対で辞職しました。
それから転職を考えたんですけど、当時はWindowsが出始めで、
これからはパソコンの時代と言われていました。
なので、パソコンのスキルを身につけなくてはいけないと思って、
PC未経験でも雇ってくれる会社を探して就職しました。
当時は電子メールがやっと企業に導入された頃。
部署に1つしかメールアドレスがなかったり、
メールひとつ送るにも上司がチェックしたり、
送ってもメール届いたか先方に確認…といった環境でした。
Q.起業に至った経緯は何ですか?
A.子供を大切にしながら働く。そんなワークスタイルを貫きたくて。
それからはもう家庭が苦しかった。結婚後1年で離婚したので、
否応なしで働かなければならなかったんです。
また派遣を始めました。
経験なしの私はひたすらパソコンで数字を入力するお仕事。
簡単な仕事しか任せてもらえない。だからスキルアップにも繋がらない。
でも、母子家庭だからお金も稼がなくてはならない。
だけど、保育園は18時に閉まるから、ルーティンワークしかできない。
それに、子供もちゃんと大切にできる環境で働きたい。
こういったジレンマに悩まされていました。
そこで思ったこと、「外資系で働きたい」
成果主義が定着している外資系は、そうではない日本企業と、
社風や文化が違います。
苦労や努力を美徳とする日本企業はまだ多くあり、
無理して頑張った人の方が偉い。
終電で帰ったり、夜中まで頑張ってる人の方が偉い。
そんな風潮がある会社もまだたくさん存在します。
でも外資系で成果主義の企業ではそれは仕事ができないと見なされる。
同じ成果を出すなら短時間で出すべき。そういった生産性重視なんですね。
しかも多くの欧米人は、ファミリーを大切にします。
家族を残して夜中まで働いているというのは、
家族を大切にしていない人だと認識されて、人間として信頼されません。
子供をちゃんと大切にしながら、稼がなくてはならない私にとって、
そういった環境は合っていると思い、外資系企業への就職を目指すことにしました。
英語ができないまま卒業した私・・・英語の経験のない自分…
まずはTOIEC800点を取ろうと思いました。
外資系で働くために、働きながらこつこつ夜中に英語の勉強をする毎日。
ある半年間、働かずに英語の勉強をしたりして、800点を達成することができました。
それから外資系のIT企業でマーケティング担当として就職。
カナダ人の上司だったんですけど、上司に恵まれましたね。
マーケティングで大切な事や生産性のある仕事の仕方を教わったのはもちろん、
いつも息子の心配をしてくれていました。
しかも日本より給料が割高だったので、母子家庭の私にとって本当に幸せな環境でした。
・生産性重視。
・健康を害してまで無理をしない。
・ファミリーを大切にする。
そこでのワークスタイルが今の自分に強く影響しています。
そのあと別の日本企業に就職しましたが、ワークスタイルがやっぱり合わなくて。。
私は何度かの転職を通して、日本企業と外資系企業の両方を経験しました。
その中で思ったのは、自分のワークスタイルで働きたい。
子供を大切にするためには、フリーでやらなくては。
なので、初めは起業というよりは、
子育てをしながら働くために必要だったからフリーになったんです。
Q.経営する上で大切にしていることは何ですか?
A.健康です。実体験から学びました。
いろいろ仕事を詰め込みすぎて、具合が悪くなったことがありました。
以前は、夜中・明け方まで働くこと、
つまり、無理しなければいけない状況に来て、はじめて
『がんばらなくちゃ!』と力を入れていました。
でも、そうじゃないって。頑張る対象が違うなって、気づいたんです。
無理が生じたときにがむしゃらに頑張るのではなく、
いかに無理が生じないようにあらかじめ段取りをするか、という部分を
がむしゃらにやらなくてはと気づきました。
意地でも無理をしない。
でも、仕事は質を守って終わらせなくてはいけない。
それで6時に仕事をあがるためには、何をしたらいいのか?という段取りを
必死に考えるようになりました。
そういった制約を決めて、その制約の中でいかに段取りよくいくかという
生産性を重視する考え方を健康という実体験から学びましたね。
初めから、“今日も徹夜でやるか~”の考えだと、そういった段取りでしか進まない。
Q.杉山さんの最近の目標は何ですか?
A.能力が最大化されるチームを作りたい。
人の能力って、お互い協力し合って、
100%以上の成果が出ると思っています。
あるひとつの目標に向かって、
チームの能力が最大化されることが私の目標ですね!
やらされているからやるのではなく、
1人1人がやりたいからやっている感覚がいい。
例え上司と部下の関係であっても、上下の関係ではなく、
単なる役割分担と捉えたいし、お互いがお互いを高めることのできる環境にしたい。
企業の基本は人です。素晴らしいチームを作りたい。
Q.起業して3年ですね。苦労もされているとは思いますが、
あえて、嬉しかったことを教えてください。
A.仕事に対する報酬がもらえたとき、昔の上司とお仕事ができたとき。
自分がやったことに対して、お仕事をもらって、
毎月の給料ではなく仕事に対する報酬がもらえたときは、本当に嬉しかったです。
お金に対する価値観が変わるぐらい、ありがたいなあ~って。
あとは、今までお世話になった上司ともう一度一緒にお仕事ができたこと。
データ入力をしていた私を
「新しく会社を立ち上げるから、お前そっちで働かないか?」と引っ張ってくれたのは、大学を卒業して就職した派遣会社の社長でした。
その社長さんに正社員として働く機会を頂けなければ、
私はいつまでたっても、経歴やできることが何もないまま、
就職できずにいました。
そのときチャンスを頂いた社長さんから、
今も一緒にお仕事をする中でチャンスを頂いている。すごくありがたいことです。
15年ぐらいのお付き合いになります。

ダンスサークルに所属していました!!
日曜日の上野公園で、日中のみ活動する健康的なHIPHOPサークルで。笑
その頃、パーティが流行ってたんですけど、
昼間のクラブが空いているときに、サークルが会場を貸し切って、
イベントを開催するなんてことよくあって、
私もそのショータイムで踊ってました。
私英語科なんですけど、英語ってつくから
英会話教室のような授業なのかなと、英語身につくかもと期待していたんです。
でも実際は、英語という言語の成り立ちや構成を学んだり・・・
英語のラジオとかは聞くようにはしていましたが、
結局英語ができないまま卒業してしまいました。
でも結構それなりにまじめに勉強もしてたんですよ!
Q.就職活動もしたんですか?
A.一応しました。でも、就活に疑問ありでしたね。
団体の面接に行ったとき、
周りの必死な就活生を見て、興醒めしてしまったんです。
さも働いたことがあるかのように、
その会社や職種の素晴らしさを語ったり、
写真館で撮った別人のように綺麗な写真を履歴書に貼っている必死な人を見て、
こうやって会社にしがみつかなくてはいけないのか?と、
就活に関しては、いろいろと疑問を持っていたましたね。
一応内定はもらいました。
Q.それから順調に働くことができたんですか?
A.いいえ。人生の転機が起こりました。
働いて1年目の年越しに仲間と行ったスノボで吐き気が。。
妊娠が発覚しました。もう、ここからが大変。
働いて1年。何も仕事できないのに、働くことのできない状態になりました。
他の私と同年代の女性は、働いて稼いだお金で服を買ったり、
後輩を持って楽しそうだったり、とにかくキラキラして見えて。。
それに比べて、自分はおなかが大きくなって、ジュゴンみたいになっていく。
自分がすごく惨めに感じました。
それに、当時のインターネットは、定額制ではなくて、
ダイアルアップの従量制で、長時間使うことが不可能でした。
つまり、今みたいに情報がすぐに手に入らない。
今はmixiとかTwitterで近くにいなくても人と繋がれたりするけど、
インターネットも自由に使えないし、
子供と1日中家に1人でいる私にとって、
そういった人とつながっている安心感がないことは非常につらいことでした。
社会から隔離された孤独感を感じていましたね。
そしてある時働いている友達から、言われたんです。
「スーツもう使わないでしょ?ちょうだい!」
この言葉で、もう社会から必要とされていないと
烙印を押された感覚になりました。
悔しくて仕方なくなった。
そういうこともあって、いつか必ず社会に戻って働きたいと
強く強く思うようになりました。
Q.やはり杉山さんは、人脈がありそうですね。
A.脈々と築いた関係があります。
よく人脈人脈って言いますよね。
どこどこの社長の名刺持ってるよ、どこどこ会社と繋がれるよなど、
ネットワークを持っていることが人脈だと思われがち。
薄く広くネットワークを張ることが人脈だと私は思わないです。
長い時間をかけて、信頼関係を脈々と連ねてきた関係、
この人のためなら何でもできるという気持ちを、自分の中に脈々と連ねていけること。
そういう関係性こそが人脈だなと思います。
その社長との長いお付き合いの中で気づきました。
転職する中で、それぞれの環境でお世話になっていた方が今でも支えてくれている。
だからやってこれました。感謝感謝の一言です。
Q.杉山さん、なぜそんな明るくいられるんですか?
A.弱い自分を認めてあげてるからかな☆
私、落ち込んだりすることが多かったんです。
そういう自分をいつも否定していました。
「ポジティブにならなきゃ!」「泣いちゃダメ!」って。
つらいときに笑うことが強さだと思っていました。
でも、気づきました。
それは自分を認めないで逃げているだけ。
悲しいときは悲しんでいい。泣きたいときは泣けばいい。
弱い自分を認める強さを持とうって。
現実より悪いことを想像するのはだめだけど、
現実にある辛いことをありのままに辛いと感じる事は、
自分を客観視するためにも、メンタル的にも良いことです。
弱い自分を否定しちゃだめ。
Q.起業と子育ての両立のポイントは何ですか?
A.完璧を目指さないことです。
完璧を目指さないこと。特に家事は、60点でOKぐらいの気持ちでいます。
100点満点を狙って、100点に少しでも届かないと気持ちが落ちますよね。
まるでピーンと糸が張っているようです。
仕事も子育てもずっとずっと続くもの。完璧を求めすぎると続かなくなります。
ハンドルやねじにも遊びを作るように、ゆとりがないと心身ともに続かない。
Q.毎日の日課は何ですか?
A.おもいっきり早寝早起きです!
冬の時期の今は12時に寝て5時半に起きるというサイクルで生活していますが、
できないときもある。
でもさっき言ったように、完璧を目指しているわけではない。
3日続かなくても、たまたま3日続かなかっただけ。
3日続かないから自分にはできないとは思わないようにしています。
実は6時起きだと本当に続きませんでした。
だから中途半端に早起きするんだったら、5時半とか4時とか日の出の時間に合わせて、
おもいっきり早起きするのが早起きするポイントです。
朝、日の出を見て、夜、日の入りを見て…というサイクルを続けていると、
「自分も地球に住まわせてもらっているんだな~」という実感が湧きます。
食べ物も地球の恵みを頂いていると思うことができて、
食欲のなかった朝に朝ご飯を食べられるようになりました。
思いもよらない早起きの効能でしたね!笑
Q.子育てをしていて感じたことはなんですか?
A.人間の意欲って本当にすごい!笑
人間の意欲って本当にすごいんです!笑
息子はムシキングのカードを集めるのが大好きでした。
でも全然私はお金をあげなかったんです。
けど息子はわらしべ長者のように、どっかで拾ったカードから友達同士交渉を繰り返して、
結局200枚ぐらいコレクションをしました。
出生地とか特性とかカードに載ってる情報をすべて暗記しているほど熱中していて、
ムシキングのカードを見ているときはよくうんちをもらしていました。
小学校1年生なのに(笑)夢中になりすぎて、
うんちをしていることに気づかなかったみたいなんです。
人間って、興味・意欲のあることは、
うんちがもれてることに気づかないほど、夢中になる。
人間の意欲って本当にすごい!って思いました。
だからそんな人間の意欲を味方につけたら強いと思うんです。
やる気スイッチを入れると、誰かがやらせるように管理したり、
叱ったりしなくたって、自動的に動いてくれますからね。
意欲を引き出すことの大切さを実感しました。
Q.今の事業をやろうと思ったキッカケは何ですか?
A.知ってしまったからには何かしたい!!
今から7年程前、
アジアの子供達を支援しているNPO法人 アジアチャイルドサポート の
理事長が書いた本を読んで、途上国の実態を知りました。
知ってしまったからには何かしたい。そう直感的に思いました。
でも、週末にボランティアをやる程度ではなく、本業の中で何かできないかと考えました。ボランティアで一時的に自分の時間と労力の一部だけ提供するのではなく、
もっと持続的にきちんと回る仕組み作りをお手伝いする事が
必要なのではないかと思いました。
そこで、これまでのマーケティングやPRの実務を活かして
それを実践できると考えたのが「コーズ・リレーテッド・マーケティング」です。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」
どこも無理することなく、みんながメリットを得て、
みんながハッピーになるような仕組みが作れたらいいなって。
これからこのことに関して、新しく情報サイトを立ち上げる予定です。
●ボードに何でもいいので書いてください。
「柳に風」
普通の木は、強い風に吹かれるとポキっと折れてしまう。
でも柳は枝が柔らかくて、
風が吹いても揺れるだけで折れることがない。
固く完璧ばかり目指してるようでは、いつかポキっとなってしまう。
弱い自分を受け入れたり、完璧を求めず、
折れることのない柳のように、しなやかに生きたい。
完璧主義でポキっと折れた自分への戒めの意味もあります。

【関連URL】
ホームページ http://www.red-spider.jp/
ブログ http://ameblo.jp/redxspider/
【インタビュー後記】
カフェ滞在時間約3時間。
貴重な時間を惜しみなく使ってくれた杉山さん。
本当に尊敬の一言です。
杉山さんから頂いた言葉のひとつひとつが
杉山さんの実体験から得たこと。
同じような体験をしている私は、涙こぼれる寸前でした。
杉山さんの素晴らしさを体いっぱいで感じた感覚。
いつか一緒にお仕事がしたい。強く強く思います。
ありがとうございました!!
インタビュアー:もりぽ(森裕美)